幸せになるための12のヒント『ラッセル幸福論』【+超簡単な要約】

書評

あなたは幸せに生きていきたいですか?それとも不幸せに生きていきたいですか?

今回は、バートランド・ラッセル著の『幸福論』を通して学んだ、気苦労の多い現代社会の中で幸せに生きるために重要なことを12個紹介していきたいと思います。

幸せになるための12のヒント『ラッセル幸福論』

幸福は望ましいものだと認める

幸福は望ましいだなんて当たり前の事だろと思われるかもしれませんが、よく振り返ってみてください。あなたは不幸自慢のような感覚を持っていませんか?幸福を目指す事が悪いことのように少しでも思っていませんか?あなたは堂々と幸せになって良いんです。

成功のための競争に参加するのをやめる

他人と比較しないとも言えます。成功を目指す事は良い事だと思いますが、周りと比較しだすのは良くありません。いっくら成功を達成したとしても、上には上がいるのですから。自分の持っているものにしてもそうです。あの人は自分のよりいい車に乗ってる、自分より豪華な家に住んでる、自分の彼氏(彼女)よりかっこいい(可愛い)恋人がいるなど、相対的に評価してしまう。これではどこまでいっても幸せにはなれなさそうですね。自分の目的を達成あるいはそれに向かって努力できていて、個人的に気に入っている車に乗れていて、快適に感じる家に住めていて、愛するパートナーがいる。たとえこれらを持っていても持っていなくても他人と比較する必要はないのでは?

エキサイティングな事や快楽の量は少しにして、目的達成のために必要な淡々とした日々に耐えるようにする

遠い目標を達成するためにはやるべき事を毎日たんたんとやりきる事が重要ですが、退屈さに耐えられないと何も成せないという事になってしまいます。また、人間は刺激や興奮や快楽を際限なく追い求めてしまうので、注意が必要です。毒も少量であれば薬になると言われ、興奮や快楽も少量であれば良いものです。その分量に注意しましょう。

不安や心配な事からあえて目をそらさない

目をそらそうとしてしまうと自分の幻想の中でその恐怖が実際のサイズよりも大きくなっていってしまいます。実際に直視すればそこまで恐るに足らない事だったりしますよね。あえてその不安や心配がなじみのものになるまで冷静に考えぬいて、心配が実際に起こったとしてどうなるのか、その後の対応なども考えて「いや、結局あれはそう大した事にはなるまい」と自然に思えるようになれるほうが目をそらすより良いのではないかと思います。自分の災難など、この世界、いや宇宙の中でみたら米粒にも満たないほどささいな事だと常に思えたら、もう最強ですね。

子供の頃に与えられた価値観を疑ってみる

当時、周りの大人たちが強く賢く見えたのは、あなたが弱くて愚かだったからかもしれません。今のあなたは弱くも愚かでもないのですから、過去に与えられた価値観を疑ってみて、本当に自分が正しいと信じる価値観に沿って生きていくのがベストです。

事実を受け止める

このラッセル幸福論では、1.あなたがする事なす事は、あなた自身で思っているほど他人のためではない(人間誰しも利己主義的)。2.あなた自身の美点を過大評価してはならない。3.周りの人はさほどあなたに興味を寄せてはいない。4.大抵の人はあなたを傷つけてやろうなどと特に思うほどあなたの事を考えてはいない。と書かれています。ちょっとイラッとくるかもしれませんし、なんだかネガティブな発想だなと思うかもしれませんが、言っている事は確かにそうです。事実は事実として正しく認識しておく事が重要で、そうでないと真実に直面した時のダメージが半端ないものになりますね。

世間体を気にしない

何もしないで引っ込んでいるような人生態度を教え込まれて育ってきた人は多いと思いますし、世の中が全体的にそういう感じであるとも感じます。ですがこれは精神衛生上、非常に良くないことだと思いませんか?好きなものは好きだと言えて、好きなことを存分にやれた方が絶対に幸福度は上がるはずです。世間体を気にして人生の時間を浪費することなく、自分の心に素直にやってみれば、その同じ分野で同じような価値観の仲間と出会えることもあるかもしれません。新しい道が開けるはずです。

恋愛に積極的になる

家族を愛する事もそうですが、家族以外の他人を愛すると幸せな気持ちで満たされます。例えば、友人に誕生日プレゼントを買ってあげたり、普段お世話になっている人に感謝の気持ちを述べるなど、愛を与える事で自分の幸福度が上がります。その究極の状態が恋愛だと思います。愛を与えて幸せを感じると同時に、正しい愛情を必要なだけ普段から与えられる事で自信も湧いてきます。恋愛は辛い思いをする事も多々ありますが、必要以上に用心深くなってしまうと良い人と良い関係を築くチャンスまでも失ってしまいますので、積極的なくらいがちょうどいいでしょう。

子供をもったとしても親である事は人生の一要素として捉える

ラッセル幸福論では、”親である事は人生の一要素として重要ではあるけれども、人生の全体であるかのように扱われるならば不満足なものになる”と言っています。さらに、”母親のためにも、また同じように子供ためにも重要な事は、母親になったからといって、他のすべての関心や仕事から切り離されるような事があってはならない”とも言っています。確かに親になったらあとは子供の為だけに生きるというのは、それがその人にとって最高の幸せであれば良いのですが、そうではない人も多いと思います。子供の立場からしても、親が自分自身の人生も充実させようと楽しんで生活しているのを見るのは幸せなように思います。

人生を一つの全体として見る

人生は方向性のある動きも統一性もないバラバラな事件の連続ではなく、何か大きな目標や最終的な幸せに至るための大きな流れだと認識しておくと、落ち着きや安心感を得られるかもしれません。辛い事や困難に出会っても、これは人生全体の流れの中の些細な出来事で自分はこれらを乗り越えた先にたどり着くんだと思えていたら、大抵の事は乗り越えられそうです。

仕事とは関係のない趣味を持つ

自分の生活に実際には重要でないことに興味を持つことは、不幸感と神経の疲れを癒してくれます。たくさんの趣味を持っていると、普段から幸せを感じることができるし、何か悲しいことがあった時に自分を癒すのを手伝ってくれます。ギャンブルや泥酔などの神経やお金を沢山使うようなものは、その時だけ気分がいい為に、気づかないだけで有害になってしまうので注意が必要です。スポーツや読書や芸術に関する趣味などが健全な趣味で、人の歴史や地球・宇宙の歴史を知ると自分のちっぽけさを良い意味でわかるので、この世界や宇宙について学んでみるのも良いと思います。

自分の力ではどうにもできないことに時間と感情を使わない

同僚や上司に関する愚痴を吐く事や起こってしまった事を恨み続ける事などは、巨大で分厚いコンクリートの壁に永遠と体当たりを繰り返す事と同じです。自分の努力ではどうする事もできない事ならばもういいじゃないですか。それについてずっと悩むより、自分の努力で変えられる事にその時間とエネルギーを使ったほうが間違いなく幸せに近づくはずです。

『ラッセル幸福論』について

原題は、『幸福の獲得』として、1930年に出版。

当時のベストセラーで、現在でもロングセラー。

本編264ページ・解説など含めると294ページ。

著者について

バートランド・ラッセル(1872〜1970)

ノーベル文学賞受賞(1950年)

数学者・論理学者・哲学者・経験論者・教育学者・教育者・政治運動家

『ラッセル幸福論』超簡単な要約

人間の幸せには、恐怖・ねたみ・神経の疲れ・自己否定・罪の意識とらわれる事などネガティブな感情を克服することが必要であると言っていて、それには自分にばかり目を向け殻に閉じこもるのではなく、外に目を向け、人や物や世界や愛情に幅広く興味を持つことが必要であると書かれています。

具体的には、

・有害ではない趣味を沢山持つ

愛情を与え合えるパートナーを獲得することに臆病にならない

・自分の努力で変えられることは努力し、変えられないことは諦め

世間体を気にせず見栄による競争に参加しない

・ささいなことにも興味を持ち感動を覚える

・人生を大きな一つの流れとして捉える

注意点として、興味を沢山持つことが大切だと本書では言っていますが、一つの興味あることをやりすぎて他のことがすべて台無しになってしまわないよう注意が必要です。野球を好きな人がいたとして、いくら好きでも仕事をほっぽりだしてまで野球をやってしまうようだとこれは不幸を招くことになります。

良い生活においては、異なる活動の間にバランスがなければならない。そうした活動は、どれ一つとして、その他の活動できなくなるまで推し進められてはならない。大食感は、食べる楽しみのためにほかの楽しみをすべて犠牲にし、そうすることで彼の人生の幸福の総量を減らしている。

p182

また、自分のことに集中してやるべきことを成すことはとても大切ですが、悪い意味で自己没頭してしまってネガティブな感情が湧いてきてしまうのは不幸の原因になるので避けなければいけません。

そのために自分の内ではなく、外に興味を持ち行動しましょうというのが本書で書かれていることであると感じました。

感想

本書は部分的に表現の仕方が少し難しいところがあるので、ページによっては理解しずらいところもあります。読書に慣れていない方には読むのが大変に感じるかもしれませんが、何を言っているのか分からないところは飛ばしてOK!ですし、ハッ!とするようなことも色々と書かれていて自分の生き方を見直すのにとてもためになりました。

是非みなさんも読んでみてください。生き方が見直されて日々の生活が楽しくなると思いますよ。

漫画版もあります↓

 



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