『自助論』とは 【わかりやすく説明します】

自助論 書評

サミュエル・スマイルズ著『自助論』 「分厚くて、なんか難しそうな本だな〜」

こんな風に感じて、読もうと思えなかったり。そもそも自助論とはなんなのか知りたい。とか、

興味はあるけど、まずはザックリとした内容を知りたいという人はいませんか?

ここでは、そんな方達に向けて自助論とはどんな本なのかを、

通読と熟読で、あわせて3回読み返したわたくしが、出来るだけわかりやすく解説していきます。

『自助論』とは

どのジャンルに当てはまる本か?

自己啓発系です。

自己啓発と聞いて毛嫌いする人もいるかもしれませんが、この本には昔の人たちの実話から学べることがたくさん書かれており、どれも生きていく上で役に立つような、自立を促して自分を奮い立たせてくれるような考え方が沢山記述されています。

どんな感じの書かれ方か?(物語形式?論文形式?対話形式?)

簡単に言えば、「物語+教訓」みたいな感じで、実話のショートエピソードをたくさん含んだビジネス本形式です。

この本は、初版が1850年代に書かれていて、その当時やそれよりも前の偉人たちのショートエピソードがいっぱい書かれています。

そして、そこから学べる考え方や行動がたくさん記述されています。

どんな内容か

自助、つまり誰かを当てにせず、自分の力で自分の人生を豊かにしていく精神について書かれている本で、

「天は自らを助くる者を助く」

↑冒頭に出てくるこの言葉が、この本を通じて大きな柱になっていて、自分の人生を自分の手で切り開いていくことをいろんな角度からひたすら説明して教えてくれます。

全部で13章からなっていて、色々な分野の偉人たちを取り上げ、逃げずに自分の力で困難を乗り越えることの大切さが600ページ近くに渡って書かれています。

発明家や製造業の開発者たち、陶芸家や画家や音楽家などの芸術家たち、科学者や生物学者などの学者たち、大法官や弁護士、軍人や将軍たちなどの分野の人たちが挙げられ、どの人も貧困の状態から身を起こしたエピソードや困難な状況に前向きに立ち向かった話が書かれています。

また、働くとはどういうことか?失敗の意味とは?金と時間の使い方とは?子に対する親としての行動とは?人格とは?などなど、人生で知っておくべきと思えることがたくさん書かれています。

もうちょっと詳しく知りたい人の為の『自助論』の要約

この本の目次は次のようになっています。

  • 第1章 自らを助けるものー国家と個人
  • 第2章 産業界のリーダーー発明家たちと製造者たち
  • 第3章 偉大な陶工たちーパリシー、ベトガー、ウェッジウッド
  • 第4章 努力と忍耐
  • 第5章 援助とチャンスを生かせー科学を追い求めて
  • 第6章 芸術家たち
  • 第7章 商人と貴族
  • 第8章 やる気と勇気
  • 第9章 実務家たち
  • 第10章 金ー毒にもなれば薬にもなる
  • 第11章 自己修養ー試練を生かせ
  • 第12章 偉人の背中
  • 第13章 人格ー本当の紳士とは

そして、本の内容を自分なりに4つの要素に割って、要約していきたいと思います。

1.労働、2.努力、3.自己修養、4.人格

1.労働

この本では、”働く”とは人間の”教育の総仕上げ”だと言っています。

学校で受ける教育はほんの「さわり」の部分であって、人間は働くことで成長していく。教科書や書物からでは得られないことを仕事を通して学び、人として完成に近づく。確かにそうかもしれないですね。

思い返すと、計算や読み書きをできるようにし、歴史を知り、科学や化学など物事の簡単な仕組みを学んだりなど自分たちがどんな世界に暮らしているのかを全般的に知ったり、他の生徒との交流でコミュニケーション能力を鍛えたりと、大学はより専門性を追求する場なので別として、高校までの教育では社会に出られるようになる為の下地を訓練してきたにすぎないと確かに思えます。

ほとんどの人は仕事で、学生生活の比ではない忙しさや大変さを経験するわけで、職場で学ぶことの方がはるかに多いと思います。

また、忙しさや大変さや人間関係などで職場が嫌になってしまって、「出社したくない」とか「月曜日の朝が一番気分が悪い」などと思ってしまう方もいらっしゃると思います。

自分も昔そう思っていたこともありましたが、仮に労働がなかったしたら、僕らは今でも個々人で狩りに出かけ、農作物を耕し、草や木の実を拾い集める生活をしなければならなかったわけで、テレビやネットやゲームだったり、どこかに出かけたりしても娯楽の類のものは一切存在しないということになります。そう思うと働くということは尊いなと感じます。

「頭を使うものであれ身体を動かすものであれ、正当な収入を得るものであれば、仕事は全て尊い。」

p374 第9章 実務家たち

2.努力

この本の内容が、「自分の手で人生を切り開き、困難を乗り越えよ」という感じなので、努力の重要性はこの本の始めから終わりまでを貫いています。

画家ジョシュア・レイノルズ「もし君に才能があるなら、努力でその才能に磨きをかけられる。もし才能がないなら、努力でそれを埋め合わせることができる」。

p259 第6章 芸術家たち

ナポレオン「不可能という言葉は愚か者の辞書にしかない」。

p323 第8章 やる気と勇気

上記は本の中に出てくる偉人たち名言です。才能でさえも努力でなんとかできるし、不可能なんていうことは存在しないという衝撃的な言葉ですね。

過去も現在も偉人と呼ばれる人たちは魔法でも使っているのではないかと思うほどの偉業を成し遂げていて、自分や皆さんの身の回りでも「あの人の才能にはかなわないよ」と思う人も今までにいたのではないかと思います。

ですが、僕らはそういうすごい人たちの努力の「結果」の部分しか見ずにそう感じでしまっているだけで、その人たちは単に僕らよりもはるかに努力を重ねていただけにすぎないのかもしれませんね。

この本に出てくる人たちも、本当に何があっても諦めずにコツコツと努力を継続する姿が共通点のように書かれていると感じました。

努力をすれば絶対に報われるわけではないかもしれませんが、成功した人たちはもれなく全員努力をしているし、何度失敗してもそこで辞めないで努力を重ね続ければいずれは成功に到達するものなんだと思えます。

なにより、この本は、そういう考え方に変えてくれるような、喝の入る本であると思います。

3.自己修養

自分を高める方法というのは色々あると思いますが、「独学」というのが知識を得るのに大切な方法だとこの本では言われています。

学校の価値というのは継続的に努力して勉強することを習慣づけることにある、と書かれていて、それよりも重要な教育が自ら行うものであるとのこと。

実際、この本の成功者たちのショートエピソードでは、”時間を惜しんで読書をする姿”が描かれていますし、現代の成功者たちも読書家の方がほとんどだと聞きます。

また、この本では読書するだけで満足して終わるようではダメだと言っていて、知識は使えるものでなければ意味がないということも言っています。確かにそうですね。

知識は知恵に変えなければ使えず、それには、困難に立ち向かって乗り越えることが重要であるそうです。

困難な状況を打ち破るため試行錯誤を重ねる時に、取り入れた知識が知恵に変わる。

読書は人格や能力を高める一つの要素に過ぎず、”問題”に取り組み、解決に向けて頑張ることが大事なのだそうです。その”問題”というのが、この本で重要視している”労働”であることが多いのかもしれませんね。

そして、この本では、お金との付き合い方についても述べられています。

お金の稼ぎ方や使い方や貯め方、貸し借りについてなど、その人のお金との付き合い方を見れば、その人に生きる上での知恵があるかどうかがよくわかると言っていて、「節約」してお金を貯めるという行為自体に自助の精神を鍛える効果があり、克己心(自分に勝つ心)が磨かれるとも言っています。

自己修養、一生を通して大切なことかもしれませんね。

4.人格

”人生における至上の宝であり、まばゆく輝くもの、それは人格である。もっとも重要な資産であり、備えていること自体がある種の地位となり、周りから信用を集める時には財産となる。あらゆる階級のものに威厳を与え、どのような社会的地位にある人であれ、その名誉を高める。富より強い力を発揮し、妬まれることなく名声を手にすることができる。立派な人格はいつも周りに大きな影響を及ぼす。人格とは、何よりも自信を生み、人々の尊敬を集める資質、信望や実直さや一貫性などで成り立っているものだからである。”

p535 第13章 人格ー本当の紳士とは

もしかしたら、人間に一番必要なものかもしれないと個人的に時折思うのが、この人格で、この本でもしっかり書かれています。

富や地位を築いても、人格がよろしくない人は現代でもいるイメージですよね。金は持っているが態度が横柄で行動に清潔感や品格を感じられなかったり、高い地位や権力を悪用したりしている人たちは実際にいると思います。

富や地位を手に入れられても、なかなかゲットできないのが、この人格だと思います。

良心、誠実さ、高い志、品格、思いやりの心、モラル、マナー、礼儀、親切、慈悲心、寛大さ、自尊心、勇気など、これらのことを常に意識しながら生活して、富や地位と一緒に高めていくのがなにより大切なのかもしれませんね。

まとめ

というわけで、この本は自律心と努力によって人格や経済力を磨き、自分の手で人生を切り開きなさいというようなことを読者に説いて、奮い立たせてくれる本です。そして、なにかこう男らしさのようなものを学べた気がしました。

『7つの習慣』と同じくらい心に響く本だったなぁという印象でした。生き方のベースの部分を刺激してくれるとても良い本だったので、ご興味が湧きましたら是非読んでみてください。

↓まんが版もあります。

↓忙しい方などは、聞いて学べるオーディブルというサービスもあります。

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